子供達はスマホいじりすぎ!
「うちの子、本を読まなくて…」「文章問題が苦手で…」
塾で保護者の皆様からこうしたご相談を受けるたび、私は強い危機感を覚えます。これは単に国語の成績が悪いという話ではありません。子どもたちの学ぶ力、考える力、そして耐える力、つまり「人間としての土台」そのものが、今、静かに蝕まれているのです。
全学年で起きている「国語力」の驚くべき低下
私は長年、教育現場で多くの子どもたちを見てきましたが、ここ数年で起きている変化は、今までの比ではありません。 小学生から高校生まで、学年を問わず、子どもたちの国語力が均等に、そして著しく低下しているのです。
- 短い文章すら、集中して最後まで読めない。
- 登場人物の心情を読み解き、共感することができない。
- 設問の意味を理解できず、見当違いの答えを書いてしまう。
- 自分の考えを、筋道を立てて説明することができない。
国語は、すべての教科の土台です。文章を読む力がなければ、算数の文章問題は解けませんし、理科や社会の教科書に書かれている内容も理解できません。国語力の低下は、全教科の学力低下に直結する、非常に深刻な問題なのです。
原因は明白。子どもたちの時間を奪う「スマホ」という存在
では、なぜこれほどまでに国語力が落ちてしまったのでしょうか。現場にいる人間として、その最大の原因はスマートフォンの急速な普及にあると断言せざるを得ません。
これを読んでいる学生の皆さん、少し胸に手を当てて考えてみてください。家にいる時間、何をして過ごしていますか? スマートフォンでゲームをしたり、InstagramやTikTok、YouTubeを眺めたりしている時間と、机に向かって勉強している時間、本や活字を読んでいる時間、どちらが長いでしょうか。
衝撃的なことに、塾に来てまで、隠れてYouTubeやスマホゲームをしようとする生徒もいます。先日、ある小学生は「休みの日は8時間以上スマホを見てしまう」と答えました。また別の生徒からは、「気づいたら10時間使っていて、親にスマホを禁止された」という話も聞きました。
8時間、10時間。それは、子どもが起きている時間の大半です。これらは決して極端な例ではなく、程度の差こそあれ、多くの子どもたちが膨大な時間をスマホに消費しているのが現実です。
保護者の皆様は、その時間、お子さんが一体どんな内容の動画を見ているのか、どんな情報を浴びているのかを正確に把握できているでしょうか。
短く、刺激的で、次から次へと流れてくるコンテンツ。それに慣れきった脳は、じっくりと腰を据えて一冊の本を読み通す「忍耐力」や、行間から登場人物の心を想像する「思考力」を失っていきます。深く考える前に、次の快楽が与えられてしまうからです。
愛する我が子の未来のために、今こそ「本質的な学力」を
「スマホは便利な道具。使い方次第ではないか」というご意見も、もちろん理解できます。しかし、大人でさえ自制が難しい誘惑に、子どもが一人で立ち向かうのはあまりにも酷な話です。
もし、本気でお子さんの学力を伸ばしたいと願うのであれば、目先の楽しさだけでなく、その子の将来に繋がる「本質的な力」を育む環境を真剣に考える必要があります。
私たち学舎QUESTでは、この危機的な状況に正面から向き合うため、創設以来、一貫して「国語力の徹底強化」を指導の根幹に据えています。特に、小学生・中学生の段階で「文章問題」と「漢字力」を徹底的に鍛え上げます。なぜなら、これが全ての学びの扉を開く鍵だからです。
現状として、文章問題は学年相当のレベルの問題を解ける生徒は少なく、2・3学年落としたレベルの文章問題から学習をするケースが多いです。中学2年だとしても、小学5・6年レベルの内容からスタートします。
なぜ、学年を落としてまで文章問題に取り組むのかというと、小学校・中学校という、学力の土台を築く最も重要な時期にこれらの基礎を固めておかないと、将来、生徒自身が大変な苦労をすることになるからです。
学舎QUESTは、小学生から大学受験生まで指導しています。だからこそ断言できるのですが、高校生になって伸び悩む生徒の多くは、例外なく小・中学校時代の基礎学力に穴があります。
そうなってからでは、小手先のテクニックではもはや太刀打ちできず、努力が報われないという辛い壁にぶつかってしまうのです。
学舎QUESTが小・中・高一貫指導にこだわるのは、まさにこの点にあります。
私たちは、長期的な視点で一人ひとりの生徒と向き合います。だからこそ、「基礎が抜けている」と判断すれば学年に縛られずに学び直しを徹底しますし、すぐに結果が出なくても、その子の成長ペースを信じて「じっくり育てる」ことができます。
目先の中学受験や高校受験の合格だけをゴールに設定し、生徒を振り回すことは決してありません。私たちは、その生徒が本当に目指したいゴールを見つけ、そこにたどり着くまで伴走するパートナーです。長期的な視点があるからこそ、ブレない指導軸で、生徒の本当の成長を支えることができるのです。
未来を切り拓く、本物の「考える力」を
勉強が人生のすべてだとは思いません。しかし、限られた子ども時代という貴重な時間を、ただスマホの画面を眺めるだけで浪費してほしくない。教育者として、心からそう願っています。
文章を読み、物語に心を動かし、自分の頭で必死に考え、それを言葉で表現する。国語教育を通して育まれるこれらの力は、AIがどれだけ進化しても決してなくならない、人間だけの力です。
変化の激しいこれからの時代を、生徒たちがたくましく生きていくためにも、自分の能力をしっかりと発揮できるよう努力・継続し、成長できるようサポートしていきたいと思っています。
そのためには、塾だけでなく家庭の取り組みこそが重要となります。
スマホ利用について今一度話し合いもしくは見直しをしてみてはいかがでしょうか。